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しばらくずっと過去話でしたが、今回は現在のお話。過去の話も混じりつつですが。
久しぶりに正帝風。


設定はこちらを参照ください。【人形遣い設定









「もう大丈夫だよ、頭痛いけど」
「バッカ! お前自分を過信しすぎ! 寝てろ!」
「寝すぎだよー。退屈だよー。ネットしたい!」
「駄目だ駄目だ禁止ネット禁止!! 携帯も無し!」


この過保護!


帝人はじっと布団の中から正臣を睨みつけた。それに気づいた正臣も睨み返す。
ダラーズの「依頼」を受け、ダラーズを探っているという他の機関のメンバーを探し出し、ひと悶着起こしたのが3日前。
数に頼って押して来た向こうのメンバーを、帝人はその力で捻じ伏せた。「鍵」はかかったままだったものの、能力を酷使したせいで身体に負担がかかり、倒れた。
一緒に居たのが臨也だったので、彼は帝人が能力を行使するのを止めることはしなかった。臨也は基本的に帝人の力を近くで見られればそれでいいのだ。「鍵」が開くほどの力であれば、帝人の身体を心配して、少しは静止もしただろうが、そこまでの力では無かった。
それが気に入らなかったのか、帰ってからの正臣は帝人から臨也を遠ざけ、部屋に帝人を半ば監禁状態で療養させている。
「……もう大丈夫だって、言ってるのに」
「お前の大丈夫は当てになんねーの。大丈夫っつって、この間学校で体育の時間倒れたの誰だっけ?」
「あの時は……」
「あの時だって、仕事した後だったろうが。お前最近力使いすぎ。連発してるじゃねえか。いくら鍵が外れないぐらいの力だってなあ、塵も積もればなんとやら、なんだよ」
「それにしたって、正臣は過保護過ぎだよ。小学生じゃあるまいし」
ベッドから起き上がった帝人は、ぷう、と頬を膨らませた。
「お前ね……ほんっと解ってねーな……」
正臣が腕を組む。ひくひくと口元がひきつっていた。何かを言いかけて、それはドアが開く音によって止められた。
「帝人くん、具合どう?」
入ってきたのは臨也だった。ドアには鍵をかけていたはずだが、と正臣は眉を顰める。
「あ……臨也さん」
帝人がほっとしたような表情になる。それもまた面白くない。正臣は自分の機嫌がとても悪くなっている事に気づく。
「帝人の部屋に近づくなって、言ったはずですけど?」
「もう3日だよ? そろそろ俺だって『食事』しないとねえ?」
にやにやと笑う臨也が憎らしくてたまらない。正臣は奥歯を噛む。




正臣が人間だった頃、臨也をとても慕っていた時期があった。
それは、正臣が『黄巾賊』という機関に属していた時の事だった。
帝人と離れ、中学生になった頃、人形遣いの機関がたくさんあった。正臣は自分が作ったその「機関」を維持していくため、臨也の力を借りた。
結果、黄巾賊はダラーズと対等になるぐらい大きくなったし、自分が居なくてもやっていける、それぐらいの大きな機関となった。だから、自分はパートナーであった【Sk】三ヶ島沙樹と共に一線を退いた。
だが、正臣が『黄巾賊』でやってきたことは良い事ばかりではなかった。そして、黄巾賊を良く思っていない別の機関もあった。それが『ブルースクウェア』。
結果、【Sk】は破壊された。行動不能にされ、自己治癒も間に合わなかった。電脳は無事であったものの、ボディの損傷が激しく、今も黄巾賊のラボには【Sk】の電脳が残っている。
それに一枚噛んでいたのが臨也だった。それが解って、正臣は黄巾賊を辞めた。そして、自身の記憶も無くしてしまおうと、伝手を辿り、新羅の元へ出向いた。自分を人形にしてもらうために。
苦しい手術を終え、自分の身体は【Ms】として生まれ変わった。しかし、記憶は何故か消えていなかった。忌々しい記憶を無くしたくて、自分を変えたのに。
その苦しさから解放されたくて、幼馴染の帝人を頼った。久しぶりに会う幼馴染は何も変わって居なくて、安心したものだった。
自分が人形になってしまった理由は聞かれなかった。自分も、まだ話すつもりは無かった。
幼馴染は相変わらず好奇心が旺盛で、非日常に憧れていた。そして、人形遣いとしての能力を目覚めさせた。
そのお陰で、臨也と契約までしてしまった。思い出したくない記憶の一部に残っている、臨也と。
しかし今の正臣の主は帝人で、主の言う事は絶対だった。帝人の言う事に従う。そう決めて契約を結んだ。


(俺は帝人の言う事は拒めない。でも、誰よりも心配してるのは俺なんだ)

帝人を護るのは自分で、帝人が頼るのも自分だけであれば良い、そう思っていた。




「……正臣」
帝人がじっと正臣を見つめてくる。その視線の意味を悟って、正臣はため息を吐いた。
「無理すんなよ」
ぽすり、と帝人の頭を軽く撫でて、臨也の横を通り過ぎる。
「相変わらずだね、紀田くん。いや、前より慎重過ぎるくらい慎重になったかな? 【Sk】の事があったから?」
「……別に、そう言う訳では無いです」
それだけ言うと、正臣は帝人の部屋を出て行った。代わりに、臨也が帝人のベッドに近寄る。ベッドの端に腰かけ、足を組んだ。
「どう、調子は」
「まだ少し頭痛はしますけど、大丈夫です」
「そう。まあこうやって起きれているなら大丈夫かな」
臨也はそっと帝人の頬を撫でる。
「さすがにあの時は肝を冷やしたよ」
帝人は首を傾げた。あの時、の事が解らない。臨也はにっこりと笑って「こっちの話」と帝人の追求を避けた。
臨也の手が帝人の顎にかかる。何をされるのかが解ったから、帝人は何時も通り、ゆっくりと目を閉じた。





「紀田くんの事、好き?」
臨也が突然そんな事を言うので、帝人はきょと、と瞳を瞬かせた。
「……は?」
「なんか君たち見てると、思いだすんだよね、昔の事」
「昔の事、ですか?」
「そう、少しだけ昔の事」
懐かしいなあ、と臨也は笑った。人形でも昔を懐かしむ事があるのだ、と帝人は思った。
「紀田くんと遊んでる時は、楽しかったよ」
「……正臣、昔の事は話してくれないんです」
正臣が引っ越してしまった後、再会するまでの出来ごとを、正臣は話さない。多少はチャット等で聞いてはいたが、詳しい事は解らない。多分、話したくない事もあるのであろうと、正臣が話してくれるまで待つ事にはした。だが、他人の口から自分の知らない正臣の話が出る度に、心がざわつく。
帝人の心の中を知ってか知らずか、臨也は続けた。
「そうだなあ、昔の紀田くんは、腕っ節が強くてねえ。人形遣いのくせに、人形と契約はしていなかった。自分の力で戦って、とても強かったねえ」
君とは違うな、と臨也は笑った。帝人は、臨也の胸にぺたりと頭をつける。何だか心がざわついて仕方が無い。
「そう言う所が気に入ったから、人形を何体か紹介したよ。紀田くんのサポートにつけそうな……ああ、あと、彼の好みそうな顔の人形」
ぴく、と帝人が反応したのが臨也にも解った。臨也の口元がにや、と笑みを浮かべる。
「……どう、したの?」
優しい声で囁く。帝人は臨也の胸に顔を埋めたまま答えない。臨也はよしよし、と帝人の背中を撫でた。
「ま、昔の話は良いか……それよりも帝人くん、もう一度」
もっともっと君に触れていたい気分だ。そう言って、臨也は帝人に今日何度目かのキスをした。




夜中、帝人は起き上がりベッドから抜け出した。臨也はもう傍に居ない。
喉が酷く乾いていた。キッチンへ行くと、正臣がカウンターのスツールに腰掛けている。
「……おう」
「……寝ないの?」
「別に寝なくてもいんじゃん? 俺人形だし」
帝人は冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出すと、それを持ったまま正臣の隣に座った。
「……」
「……」
しばしの沈黙の後、正臣が口を開く。
「もう大丈夫か?」
「……うん」
「もう無茶すんなよ」
「……うん」
「俺は、お前を失いたくないんだ」
「……【Sk】みたいに?」
正臣がはっとなって、帝人の腕をつかみ、揺さぶる。
「それ、誰から聞いた? 臨也さんか?」
「……詳しくは聞いてないけど、正臣が昔人形遣いで、【Sk】っていう人形と一緒に居たって事だけ、聞いた」
その後は、聞いてないけど、と帝人は俯いた。でも、考えてみれば今までの正臣の行動は自分と【Sk】を重ねているように思えてならなかった。
「あいつと、お前は違う……沙樹……【Sk】の事は、もう昔の事で、俺はもう人形遣いで無くなって、今はお前と契約してる」
「でも、正臣が昔の事を忘れていないのは……」


【Sk】が忘れられないからなんじゃないの


その言葉を、帝人は飲みこんだ。だが、その間で正臣は帝人の言いたい事が解ってしまった。
「お前が思っている通りかもしれないけど、今はお前が何よりも、一番大事だ。今だけじゃない、昔から、ずっとお前だけを想って、俺は生きてきたんだ」
だから、と正臣は一旦、息を吐いた。
「お前と一緒に居なかった3年間の事は……まだちょっと話せないけれど……でも、俺のこの気持ち、信じてくれるか」


お前を心配するのも、お前を護るのも、お前の事が好きだから。お前が俺の名前を護ってくれているのと同じように、自分はお前の全てを護る。


帝人は頷いた。
過去の正臣の事が解らなくて、それを人伝いで知って、不安になる時もあるけれど、自分は正臣を一番頼りにしている事は確かだし、ずっと付き合ってきたから、正臣の今の気持ちもなんとなく解る。
過去の事は、正臣の中でもまだ整理がついていないのだろう、だから、話してくれるようになるまで待つ。
そう言うと、正臣はやっと笑った。
「サンキューな、帝人!」
「それはいいけど、もう子供扱いはやめてよね」
「じゃあ、大人扱いならいいわけ?」
「大人扱い、って……?」
言うが早いか、正臣は帝人の身体を抱え上げた。
「え、ちょ……っ、まさおみ!」
「いやー実は俺もそろそろ『食事』の時間なんだよなー。このまま帝人と喧嘩したままだったらどうしようかと思ってたんだがオールオッケー!」
明日は休みだし! とうきうきした様子で正臣は帝人に笑いかけた。
「お前がお望みの『大人扱い』をしてやるよ、帝人」
「いやっ、そういう意味で言ったわけでなくて……!」
「はいはいー後で聞いてやるから。ああーマジ腹減ったーエネルギー切れるー」
「ちょっ、ちょっとお!」
帝人の叫びは、部屋の中に吸い込まれていった。




「ほーんと、見てて飽きないね、あの二人」
臨也がぽつりと呟いた。帰って来て、リビングへ入るタイミングがつかめなかったらしい。そのまま、リビングから出てきた二人を見送って、代わりにリビングへと入る。
「あー、疲れた。小腹空いた」
一人で別の個人的な『仕事』をしてきたお陰で、エネルギーが減っていた。『食事』がしたいと思ったが、今帝人の部屋には正臣が居て、自分が入っていけば修羅場確実だ。
「……疲れてるし、今日は良いか……」
代わりに臨也はエネルギーの消費を減らそうと目を閉じ、スリープモードに入った。


「……貸しひとつだよ、紀田くん」






というわけで正臣の過去と絡めて書いてみました。未だ語らずな正臣の過去。
久しぶりに正臣を書いたような気がしますがそんな事無かった。15で結構書いてた←
ちょっとシリアスモードな正臣が好きです。ギャップが楽しいw


臨也が言っている「あの時」は青葉と【Mk】の話です。そのことは帝人は忘れてしまっているので、覚えていません。


ちょっと前に書き出していたかきたいものリストの「正臣と帝人が喧嘩して臨也が帝人とらぶらぶぷまいですになるけど結局正臣と帝人で仲直りらぶらぶ」というアレを組み込んでみましたw


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