BLとか腐女子っぽいネタとか小話の倉庫になります。
「悪い帝人! 今日は一緒に帰れねえ!」
正臣ががばっと頭を下げた。
クラスの友人に頼まれて、作業の手伝いをするという正臣に向かって、帝人はわかった、と頷く。
「仕方ないよ。ちゃんと作業手伝って、邪魔しないようにね」
「邪魔ァ!? ひどっ」
クラスの友人に呼ばれた正臣は、そのまま自分のクラスへと戻って行った。帝人は鞄を抱え直し、昇降口へと向かう。
帝人と正臣は学校と学年が同じではあるが、クラスは違う。だから偶に予定が合わず一緒に帰れないこともある。
(園原さんも、今日は用事があるって)
杏里とは同じクラスだが、彼女も多忙な人物らしく、余り一緒に連れだって帰った事は無かった。
(適当にぶらぶらしてから帰ろう)
ことん、と革靴を床に落とし、帝人はそう思った。
池袋には、有名人がいる。厳密にいうと本当の人ではない。
その正体を知っているのは池袋でも一握りだろう。
そしてその有名人に一番近しい人物が、帝人だった。
(そう言えば最近戻って来てないけど、どうしてるんだろう?)
そろそろ「餌」を与えなければ、いつもフルスロットルで活動している『彼』は動けなくなってしまうはずだが、と帝人はぼんやりと人通りを眺めながら思った。
池袋をぶらぶらしてから帰ろう、と思いまず本屋に寄った所、正臣から連絡があった。すぐ帰れそうだから合流できるかも、という内容で、それに返事を返した帝人は、コンビニで飲み物を買って今公園のベンチで待機中であった。
遠目に過ぎゆく人通りを眺めながら、帝人は一時のゆったりした時間を楽しむ。
「おっ、ハニー発見!」
遠くから聞こえてきた声に、帝人はびっくりしてきょろきょろと辺りを見回した。聞き覚えのある声だ。
「ヤッホー! 帝人!」
「千景さん!」
帽子を目深に被り、顔に包帯を巻いた人物がひょこっと手を上げて、帝人に駆け寄った。そしてがばっと抱きつく。
「わぁ」
「今日も可愛いね! ほんと可愛い! 連れて帰る!」
「いえ、連れて帰るのは勘弁して下さい……」
お腹すかせてるひとたちが待っているので、と帝人は遠慮がちに千景の申し出を断る。
「ちぇっ。早く帝人を俺のマスターにしたいなー。でも俺まだ静雄に勝てないから駄目だな」
千景は生体人形であるが、主を持たなくても活動が可能な数少ないタイプだった。自分の主となれる人物を探しているうち、帝人に目をつけた。しかし帝人にはすでに4体もの契約者がいて、なおかつ自分と同じ型をした人形が1人居た。その名は「平和島 静雄」。
静雄は池袋最強と言われ、千景も知っていた。そして同じパワー型タイプの人形の中では最強クラスの力を誇るとされる。
千景は決めた。
池袋最強の静雄を倒したら、帝人と契約しよう。同じタイプは二人いらない。
そして千景は足しげく帝人の元に通い、静雄に喧嘩を売り、未だ勝ててはいない。
「そういえば、今日は女の人と一緒じゃないんですね?」
「ああ、ノン達は今コンビニで立ち読み中! 俺は帝人が見えたから来たってわけ」
千景は女性が好きだと公言し、ナンパも好きだと言う。いつも誰か女性を数人連れて街を闊歩している。帝人も何度もその光景を見ているので、今さら驚かないし、自分の契約している人形でもないし、とやかく言うつもりはない。
「え、何なに帝人くんったら! ノン達に嫉妬!? 大丈夫俺は帝人が一番すきだから!」
「あ、別にそういうことじゃないので。一人で居るの、珍しいなと思っただけですから」
帝人がにっこり笑ってそう言うと、千景は冷たい! と言ってしょんぼりと肩を落とした。千景を見ていると誰かを思い出す。誰かとは敢えて言わない。
「そうだ、今静雄何処にいるかわかる?」
千景が尋ねる。帝人はため息を吐いた。
「またですか? そろそろ諦めたらどうです?」
「ダーメ! 俺は静雄に勝って池袋最強を手に入れてついでに帝人も手に入れる!」
「あ、僕はついでなんですね」
「ゴメン嘘ついでじゃない! 帝人を手に入れてついでに池袋最強も手に入れる!」
テンション高いなあ、と思いながら帝人は携帯を取り出す。静雄の携帯にコールしてみる。1回、2回、何度かコール音が響くが取る気配が無い。
基本的に生体人形の暮らしも人のそれと変わりがない。だから携帯だって持っているし、普通はそれで連絡は事足りる。
人形が持っている電脳からの通信を、主の端末へ送ったり、その逆も可能ではあるが、日常生活では全くといっていいほど使わない力ではあった。むしろ緊急時に使うべきものであって、日常生活で使うような力ではない。
「……探すの面倒だなあ……」
帝人は眉を顰めた。自分の能力で契約した人形を探すのは訳ないことだ。ただ、その間自分が無防備になってしまうし、周りの人形にも多少の影響は出る。そして、自分が最重要人物で監視がついていることも知っているから、あまり目立ちたくないというのが本音だった。
「千景さん、ちょっと借りていいですか?」
「ん? なんだいハニー」
千景が帝人の顔を覗き込むように腰を少し落とした。帝人はがば、と千景の首に手を回して抱きつく。
「おっ何だい今日は大胆だなあ! よしよし!」
「あの、苦しいです」
千景もぎゅうぎゅう抱きついてくるのが苦しかったが、とりあえず帝人は千景の後頭部に触れた。
『接続を開始します』
帝人が呟くと、千景の動きが止まる。人口の水晶体がキュ、と音を立てて細められた。
良く見ると千景の後頭部から細い線がのびていて、その先は帝人が持つ携帯につながっている。千景の電脳に直接働きかけて、千景を介して通信を飛ばそうとしているのだ。
(1、2、3)
何秒で来れるかな、と帝人がカウントダウンを始める。10数えた辺りで携帯に反応が来た。そろそろかな、と帝人は千景の支配を解いて解放する。
「っと、もう良いの?」
「ええ。大丈夫ですもうす」
ぐ、と帝人が言う前に、千景の姿が見えなくなった。目の前に人が立ったからだ。千景と帝人を引き離し、なおかつどこかで引っこ抜いてきたのであろう標識を千景に突きつける。
「テメエ池袋で何してやがるさっさと帰れコラァ!」
「おー静雄久しぶりー! そっかハニーは静雄を呼んでたのか」
「そうです。千景さんのネットワークをお借りして。僕が力使うとちょっと面倒な事になりそうなので」
外ではあまり力使いたくないんです、と帝人はため息混じりに呟いた。そして静雄にも愚痴を漏らす。
「静雄さん、ちゃんと携帯渡してるんですから鳴らしたら出て下さいよ」
「あ、悪い……鳴ってるの気付かなかった」
「……今日はちゃんと帰って来て下さいね」
「おう」
こいつをぶちのめしてからなあ。と静雄はサングラスを取った。
「お前いい加減しつこいんだよ」
「だって静雄倒して、帝人と契約するって約束したからなっ。そんで池袋最強も手に入れる!」
「……いい度胸だ!」
周りの空気が震える。静雄の中のスイッチが戦闘モードに切り替わった。千景もそれを嬉しがるかのように、笑みを浮かべる。
渦中の帝人は、我関せずといった雰囲気でその場から離れた。
静雄に言いたい事は言ったし、千景の頼みも聞き届けた。
「紀田くん、遅いんだけど」
正臣に催促と文句の電話をかけながら、帝人は歩き出した。
気がつけばろっちーと静雄しか出ていませんでした。アレー。ほんとはもっと他の人がどうしてるか書くはずだった、の、に。
すいませんまだ続くかも……です。
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