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※3月27日 14時34分現在、加筆・修正しました。


ちょっと書きたい話があって、でもこれふつーの静帝でしていいんやろうか……と思ったので、パロディと絡めてみました。
ちょっと病んでます。静雄が。


というわけで静雄と帝人が最初に会った時のお話です。




設定はこちらを参照ください。【人形遣い設定







静雄は悩んでいた。
主からいきなりの「契約破棄」宣言。そして、別の主に仕えろと、最後の命令を貰ったのだ。
自分は人形であるから、主の命令は絶対に従わなくてはならない。主は困ったように笑って言った。


「『ダラーズ』のお偉いさんからの命令さ」


ダラーズは主が所属している機関だ。謎に包まれた、人形遣いの集団。そんなわけのわからないものからの命令を聞くのか。


厭だ、な。


煙草の煙をゆっくりと吐き出しながら、静雄は声無く呟いた。自分はダラーズで作られた人形ではあるが、余りダラーズの事は信用していない。


そして自分は初期状態とはずいぶんと変わってしまった、らしい。らしいというのは新羅から聞いた話だからだ。変わった理由、それは自分の主を護るために、そのように性格プログラムが学習していったからに他ならない。主の事を第一に考え、主を護る。護るためには強くならなければならない。強くなるためには能力が高くなければならない。
いつしか『池袋最強』やら『喧嘩人形』やらと呼ばれるようになるまでに強くなった。だが、まだ足りない。もっと、もっと強く。
そんな折に突然契約を破棄されることになった。契約破棄の方法はとても簡単だ。人形はすべてデータの産物なので、自分と契約している主のDNA情報を、電脳から消し去ればそれでいい。それで主のことは、全て忘れてしまう。そして、主の電脳からも契約していた人形のデータを削除する。それで契約は破棄、全ておしまいだ。
「静雄、準備出来たけど」
「……おう」
新羅が静雄に声をかける。ここは新羅の研究室で、静雄の電脳に入っている主のDNA情報をリセットするため、ここに呼ばれた。
「次のマスターの情報を送っておくから、確認しておいて」
静雄の頭にケーブルが繋がれる。「次のマスター」の情報が入ってきた。
「竜ヶ峰、帝人? もしかして」
「そう、例の事件のあの子だ。能力は保証するよ。彼は既に一人契約しているけど、君と契約してもキャパ的には大丈夫だと思う」
「……そうかい」
「なんだ、乗り気じゃないね。まあ君は繊細だからなあ。仕えるのは一生に一人! とか言いそうだもんね」
「悪いか?」
睨む。新羅は首を竦めた。
「仕方ないよ。僕だってあんまりこんなことしたくないけど、上からの命令だもの」
新羅はため息を吐いた。そして、帝人くんは、良い子だよ、と新羅は呟く。
「好きにならなくてもいいから、嫌いにはならないであげて」
その言葉を合図に、キーが押された。静雄の中から、主の情報が消える。


「あれ?」
新羅は小さく首を傾げた。モニターに映る文字の羅列、そこにおかしな文章を見つける。静雄の電脳情報に、異常が見つかった。
(バグかな?)
文字を追い続けていくと、深刻な問題ではないらしいが、気にはなる。
(……まあいっか)


そのバグは、静雄の身体を、電脳を、蝕んでいく。




『竜ヶ峰帝人』のことは、新羅から教えられる前から少し知っていた。池袋全体を巻き込んだ事件、その中心にいた冷たい目をした子供。自分もその場に居たから知っている。絶対的な命令を、その場にいた、いや、池袋中の全人形達に与えていた。自分もその命令を受け取ったが、とても抗えるようなものではなかった。無条件にその場に頭を垂れ、服従してしまうような、そんなプレッシャーを感じた。その人物がまさか自分の主になるとは思わなかった。
以前の主の情報を消し去ってから、静雄は毎日池袋の街へ出て『竜ヶ峰帝人』を探した。次の主となるその子供を。
受け取った情報の中の写真では、彼は来良学園の制服を着ていた。同じ制服を見る度に、何故だか気分が悪くなる。
(気分が、悪い。何だこれは)
イライラするような、モヤモヤするような、何とも言えない気分。ずっと暗闇を走って、出口が見えないような漠然とした不安。
静雄は煙草を燻らせた。余計な事は考えないように、ただ『主』を探すことだけに集中する。
静雄の人口水晶が何かを捉えた。その先には写真で見た『彼』が居る。
大抵契約した人形と一緒にいるという話だったが、今回帝人は一人だった。
(……あいつか)
静雄は目を細めた。目の前の彼は、以前の事件の時に見た姿とは違っていた。あの時はとても凛として、冷たく周りを睥睨し、王者然とした雰囲気で君臨していたのに、今は普通の学生で、柔らかい雰囲気と、弱そうな風貌。そのギャップに悩む。


彼のために、自分は主との契約を失った。とても大事な人との、一生の繋がりを切られた。


(嗚呼、俺はどうすれば良い。こいつを護らなくちゃいけないんだ。それが最後の命令だから)


護らなくては、という絶対的な命令。
彼を認めなくてはという思いと、彼を認めたくないという思い。
早く彼と契約を結ばなくては。前の主はもう居ない。


早く彼との繋がりが、欲しい。


嗚呼、気分が、悪い。




「……え、っと……?」
帝人は身体を起こした。知らない天井がまず見えて、部屋が暗いと感じた。すでに窓の外は暗い。
「ここ、何処?」
きょろきょろと辺りを見回すと、部屋のようだった。余り広くない部屋の、片隅に置かれた広いベッド。
ベッドから降りる。手さぐりでスイッチを探して明かりをつけた。
「あ、痛……」
何だか身体が痛む。鳩尾の辺りだ。そしてその痛みで思い出した。
(そうだ、確か、平和島静雄さん、だっけ……?)
池袋に来て最初に幼馴染に教えられた『池袋で関わってはいけないもの』の中に名を連ねていた『平和島静雄』が、いきなり自分の鳩尾に掌底を叩きこんだのだ。そのせいで気絶した。多分、手加減はされていたとは思うが、自分は身体を鍛えているわけでもなんでもないから、ずいぶんと痛い。内臓がイカれていないだけマシか。
(でも、何で……?)
静雄から何か恨みを買うようなことでもしたのだろうか? わからない。しかし、自分は思い当たる節が無い。あるとすれば、先日起こった―というか、起こした―事件のことだけだ。
(まさか、あれでダラーズが平和島さんを使って僕のことを消しに来た!?)
池袋を巻き込んだ大規模な事件、それを起こしたのは他ならぬ自分だ。大事になったという自覚はある。だが、いつの間にかその事件も人々の頭からさっぱりと消えていた。それに紛れて、自分の存在も忘れてもらえれば、とそう思っていたのに。
(やっぱり無理、か)
非日常に憧れて人形遣いになった。でも日常が嫌なわけではない。むしろ平和な方が良い。
はあ、と帝人はため息を吐いた。とりあえず現状を把握しようと、部屋を出て廊下を進む。すぐに廊下は終わって、玄関のドアが現れた。ここは普通のマンションの部屋のようだ。ただ、玄関のドアは厳重に電子ロックがかかっている。
(これなら解除できそうだけど、時間かかるなあ)
ロックの形状から帝人は推測するが、解除をしている間に誰かが来るとまずい。部屋に戻って鞄を漁るが携帯端末が無い。自分の制服のポケットにも無い。静雄が持って行ったか、壊されてしまったか。
(緊急、回線……)
端末無しで、自身の電脳を使い回線を開こうとするが、ジャミングが入ってうまく接続できない。帝人は目を閉じると、諦めてベッドに寝転がった。
「紀田くん、心配してるかな」


静雄が部屋に戻ると、帝人は眠っていた。身体を丸めて時折身じろぐその姿を、静雄はじっと床に座り、ベッドに背を預け眺めていた。
(ちいせえ、なあ)
こんな小さな身体の、どこにあんな力が眠っていたのか。不思議でたまらなかった。
自分の周りには居なかった、この小さな、しかし、どんなものよりも大きい存在がとたんに愛しくてたまらなくなって、誰にも渡したくなくなった。人形の自分が、こんなちいさな人間に一目惚れをしてしまった。だから、この自分の部屋に連れてきた。携帯も壊して、通信もできなくした。この世界に自分と彼とのふたりきり。それがたまらなく、嬉しい。
静雄は眠る帝人の頭を撫で続けた。軽く力をこめれば潰せそうな小さな頭だ。
「……ぅ」
帝人がゆっくりと瞼を上げた。そして、目の前の静雄に驚いて目を見開き、起き上がる。
「へいわじま、しずお、さん」
「……おう」
帝人が自分の名前を呼んだ。嗚呼、何だかそれがとても嬉しい。もっと、呼んでほしい。
「お前が、竜ヶ峰帝人か」
「そう、です。あの、何故僕を此処へ」
おどおどする姿が、たまらなく愛しい。このまま抱きしめてしまえば、一つになれるだろうか。
「俺は、お前を護れって言われた。だから、主との契約も破棄した。お前が、俺の次の主になると言われたから、此処に連れてきた」
「え……!? な、んですか、それ……」
帝人は混乱していた。急に目の前の人形の主となれという。契約を、結べと。
「で、でも……!」
「……俺では力不足か?」
「そんな、こと、無いです! た、ただ、ちょっと混乱してしまって」
帝人は俯いた。静雄は帝人の前に跪く。帝人の腰に手を回し、抱きしめた。みしり、と骨が鳴る。痛みに帝人が顔を顰めた。
「……っ」
「じゃあ俺が教えてやるよ。どういう経緯で俺が大好きだった主との契約を失って、どれだけ憎しみを込めてお前を探して、どういう風にお前のことを好きになって、どれぐらいお前と繋がっていたいか」


時間は、沢山あるから。ひとつずつ話してやろう。そう言って静雄は笑った。




長い長い時間をかけて、静雄は静かに語った。夜が明けて、次の夜が来ても、帝人を抱く腕は変わらずそこに在り続けた。帝人も、疲弊しては居たが、静雄の話にずっと耳を傾けていた。いつしか静雄は帝人の膝に頭を預け、眠るように目を閉じて語り続けていた。そんな静雄の頭を、帝人はゆっくりと撫で続けた。
話を聞く事で、静雄の気が済めばいいと、そう思った。彼をこんな風にしてしまったのは自分が起こした事件が発端で、全て自分のせいなのだと。だからこれは、罰であり贖罪なのだと。


自分のために静雄が一生を捧げるべき主を失い、自分のために主を変える事に悩み苦しみ、そうして自分を好きになろうとしてくれている。


「平和島さん」
「……静雄でいい」
「では、静雄さん……」
帝人は、ゆっくりと喋りだした。
「僕が起こした事のせいで、静雄さんには申し訳ないことをしました」
「……済んだ事は、もう良い」
「だから僕は、責任を取らなくちゃ」
静雄の頭を撫でる手が止まった。静雄は顔を上げる。帝人と、目が合った。帝人は、まっすぐな視線で、静雄を見つめる。
「僕が、一生をかけて、貴方を幸せに、する」
だから、僕と契約してください。そう言って、帝人は静雄の頬に触れた。
「貴方の名前を一生護ります。貴方の主であったひとの代わりに、僕が。それで許してなんていえないけれど」


僕のことを、すきになってほしい


「前の主のことを忘れられていないから、訳の分からないままこんなに苦しんで、悩んで、主を奪った僕を憎んで、ぼろぼろになって、だから」
「……」
静雄は黙って聞いていた。帝人の声が、心地よく頭に響く。ああ、俺はこれを望んでいたんだ。そう思う。
「繋がりを切られて、不安定になって、繋がりがほしくて、でも、急に僕を主だとは認められないんでしょう?」
「そんな事、無い」
自分は人形だ。決められたことはそのとおりにこなす。そのようにプログラムされた。
新羅が自分を「変わった」と言ったが、変わったことなど何一つないと思っていた。それこそが、静雄が変わった事なのだと気づかずに。
「だから、まず契約して、僕と繋がりを持ちましょう。それから、ゆっくり知って下さい、僕のことを、たくさん。そうして、僕のことを主と認めてくれるまで、僕は待ちますから」
おねがい、します。そう言って帝人は声を上げずに泣いた。涙がこぼれて、静雄の頬を濡らしていく。


ああ、新羅。
俺はこの子を嫌いになんかなれない。なれるはずがない。
いとおしくて、仕方が無い。


静雄は帝人をベッドから引きずりおろした。そして、自分の胸に抱きこむ。ぎゅう、と力を込めて―もちろん手加減はして―そのちいさい身体を抱きしめた。帝人は声を上げずに泣き続けていた。多分、自分の分も泣いてくれているのだろう、そう思った。
「契約、しよう」
そう囁くと、帝人は頷いた。泣き腫らした目で、静雄を見つめた。
「分かり、ました」
涙をぬぐうと、帝人は静雄から離れた。自分の鞄の中からペンケースを取り出し、そこから細身のカッターナイフを取り出した。
「契約を、始めましょう」


帝人がカッターで自分の左人差し指を傷つけた。ぷつ、と肉の切れた音がして、一本の紅い線が走る。血がぷくりと溢れてきた。
「コードは?」
「【Sz】」
「了解です」
人形遣いと人形の契約はこれも簡単で、人形には人形遣いのDNA情報を与え、人形遣いは人形の情報を貰いコード内の情報を管理することで契約が完了となる。コードは人形ごとに違い、契約時に人形遣いにそれを教え、管理されることで契約を結ぶ事になり、コードの中に込められている機密情報は、自分の体内データを送ることで、主の電脳へとインプットされる。
裏ではそのコードを取引材料にしているものも居ると言うが、それだけ大切な機密情報である。
『コード【Sz】平和島静雄と契約を、結びます』
帝人の瞳が蒼く光る。静雄はそれを見て、思い出す。
(ああ、あのときの、眼だ)
以前は冷たく暗い、蒼い瞳だった。だが、今の蒼は、とても柔らかい。
「静雄さん」
帝人の左人差し指が差し出された。静雄はその先に浮かぶ紅い血を、ぺろりと舐めとる。
(こんな味、なのか)
甘い甘い帝人の血。これからずっと、この味を味わえる。そう思いながら帝人の指を丹念に舐める。帝人が、ぴくりと身体を震わせた。
「し、静雄さん……くすぐったい、です」
「あ、ああ……悪い」
静雄は名残惜しそうに帝人の手を離す。帝人は微笑んだ。今度は静雄が、帝人の手を引き、軽く頬に手を添えて口付ける。自分の唾液を送り、人形遣いに自分の情報を与えた。
「これで、僕たちは、繋がり、ました……」
安心したのか、帝人が静雄に向かって倒れこんだ。その身体を静雄は抱きとめる。
「これから、静雄さんに好きになってもらえるように、頑張りますから」
静雄は黙って帝人を抱きしめた。頑張りは必要無い。もう既に静雄の心は、帝人のものだ。
「……これから、よろしく御願いします」
帝人は眼を閉じた。ややして、寝息が漏れる。すでに二日目の夜が明けようとしていた。
「帝人、帝人……帝人帝人帝人っ!」
静雄は帝人の名前を呼び続けた。声が嗄れるまで、喉が裂けるまで、その名前しか、要らないと言う様に。




ふ、と帝人は目を覚ました。隣には静雄が寝転んでこちらを見ている。帝人の頭を撫でていた手を止めて、静雄は尋ねた。
「どうした、帝人?」
「いえ……昔の夢を、見ました」
帝人がそう言って微笑むと、静雄が閥が悪そうに顔を顰めた。
「忘れろ、あの時の事は」
恥ずかしい。と静雄は眉を顰めたまま呟く。帝人はくすくす笑った。
「忘れませんよ、だって、静雄さんと最初に会ったときのことだし」
契約を、結んだときのことだから、と帝人は静雄に寄り添った。
「僕の大切な想い出で、静雄さんの大切な、想い出でもありますから」
「……ああ」
「一生、忘れることは出来ませんよ」
そう言って、帝人は目を閉じた。その顎を軽く上げさせて、静雄は口付けをする。
長い長い口付けは、誓いのキスのように、帝人と静雄の心を満たしていった。






病んだ静雄が書きたいなあと思ったのですが、監禁とかどうだろう→やっぱ軟禁ぐらい?→ちょっとリアルじゃないなあ→じゃあパラレルに絡めよう、というわけで、静雄と帝人が契約を結ぶまでを書いてみました。
電脳から昔の主の情報がバグのせいで消えてなくて、前の主の情報と、今の主(帝人)との情報がごっちゃになって苦しんで病んでいく静雄さんのお話でした。
なんか無駄に長くなってすいません……そしてちょっと暗くてすいません……。


そんで、思いつきで話を作るせいで時系列がごっちゃになってきてます。(←
時系列まとめもしないといけませんね><


ちなみに静雄の元主はトムさん……のはず。そんなイメージで書いてます。





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