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10の後日譚ぽい感じです。
今回は明るめにっていうかギャグで(笑


設定はこちらを参照ください。【人形遣い設定







最近の紀田正臣は上機嫌だった。何時も顔が緩んでいた。にやにや、ではない、でれでれ、と言った言葉が合う、そんな顔をしていた。何時もは正臣の事にとやかく言わない静雄までも「紀田、その顔止めろ」と嫌そうな顔をして言うくらいだ。相当のものだった。
だが正臣はそんな小言は物ともしなかった。何故ならば傍に帝人が居たからだ。しかも常に。24時間、一時も離れずに。
その理由は、先日の帝人と黒沼青葉との事件に遡る。


帝人が目覚めた後、少し記憶の混乱が見られた。青葉との出会いも【Mk】との出会いも無かった事になり、正臣と別れた後のことがすっぱりと記憶から無くなっていたのだ。しかし手の怪我や皆の心配そうな顔を見て、帝人は何事かがあったと悟った。
そこで正臣が「自分と別れたあと帝人は事故に合った」事にし、手の怪我も記憶の混乱もそのせいだと、皆で示し合わせ、新羅やセルティにもそう伝えて皆で嘘を吐いた。
帝人はあっさりと納得した。余りにも落ち着きすぎていて逆に皆のほうが心配になった。
だが、そこから帝人の様子がおかしくなった。


まず、一人になる事を怖がった。「怖い」と口に出したことは無かったが、部屋に一人で居るのが嫌なのか、必ず誰かの傍にくっついていた。そして、外に出るのを嫌った。「事故」だと言われたせいか、外に出て同じ目に合うのが嫌だったのだろうか。手の怪我が治るまでは学校にも行けないだろうと思いしばらくは休みを取ると連絡していたので、学校のことは問題無かったし、帝人が外に出て何かをするということも無かったので、その辺りはさしたる問題にもならなかった。
学校のことは杏里が逐一電話やメールで教えてくれたので、正臣はそれを帝人に話して聞かせた。


そう、常に帝人の傍に居たのは、正臣だった。
帝人が目覚めた時一番最初に見たのは正臣の顔だったし、帝人に事実混じりの嘘を吹き込んだのも正臣で、学校のことを話して聞かせるのも正臣で、更に一緒に行動するのも正臣で、帝人の全てを補っているのは正臣だったのだ。


生まれたての雛が初めて見たものを親と思うように、帝人の頭には目覚めてから最初に見た正臣が「自分を護ってくれるもの」として刷り込まれてしまったのだ。


「……いくら帝人くんが紀田くん大好きだからって、そろそろウザいんだけど……」
臨也が少しの苛立ち混じりにそう呟いた。臨也にウザがられるというのは相当のものだ、と静雄は思ったが、自分も若干そう感じていたので仕方が無い。
帝人が正臣から離れたがらないので、一緒に居るのは仕方が無いとしても、共同で使用するリビングでいちゃつくのは何事か、と臨也は言う。昔は自分だってやっていたくせに、それを棚に上げて言うのだから割かし大人げが無い。
「だってー、帝人が離してくれないんですもの! 俺達紅いロープで縛りあっちゃってるからもう解け無いんですー! な、帝人!」
正臣は浮かれに浮かれた笑顔で臨也にそう告げた。帝人は正臣に抱きつかれながら、若干恥ずかしげに、しかしその手は正臣の服を掴んだまま離さず、黙ってうつむいた。
「て言うか! 何で俺のとこには来ない訳?」
臨也が帝人をちらりと見やる。帝人は正臣の身体に隠れ気味に、おずおずと喋りだした。
「ご、ごめんなさい。臨也さんが嫌いとかそういうわけじゃないんですけど、何でか……」
「臨也さーん。帝人いじめるの止めてくれませんかー」
帝人の昔のトラウマ蘇っちゃうんでー。と正臣が目を細めて言った。
帝人の記憶の混乱はかなりの先まで遡って混乱しているようで、定期的に新羅の元に通い電脳内のデータ整理と精神的な診療を持ってやっと記憶の整理をしている。これでも臨也に慣れて何時もどおりに戻って来たほうだ。昔臨也は帝人にちょっとした事をした。それはちゃんと許されて、こうやって契約して一緒に居るのに、それまで掘り返されて怖がられて元の木阿弥になってしまった。同じ理由で帝人は静雄にも触れなくなっていた。
「臨也さんも静雄さんも、契約する前に帝人にちょっかいかけるからこんな事になるんですよ!」
全くもう、と正臣は帝人を護るように抱きしめた。


正臣は先の事件で、帝人を護れなかったと誰よりも悔いていた。それは幼馴染だからという理由だけではなく、契約したときの約束を護れなかったと言う思いもあった。


絶対お前の手を離さないから、お前も俺の手を離すな。


それなのに、自分が手を離してしまったせいで帝人に怪我を負わせ、心にまで傷を負わせてしまった。正臣はそれを悔やんで、帝人が目覚めるまでずっと傍にいた。そして目覚めてからもずっと。
帝人の方も、ずっと昔から頼りにしていたのは正臣だった。正臣が引っ越した後は寂しくて仕方なかったが、チャットを通して毎日喋って会っている気分になれた。正臣に誘われて池袋に来たのも、正臣が誘っていなければ、もしくは、正臣以外に誘われていたとしても池袋には来て居なかった。全ては正臣だったから、だ。
だから帝人は正臣には絶対の信頼をおいている。臨也や静雄はこちらに来てから知り合った謂わば「他人」で、しかも、見た目的には年の離れた「大人」と来ている。人一倍他人の顔色を伺って、他人のことを気遣う帝人が「他人」で「大人」の静雄や臨也と即打ち解けられるかというとそうも行かない訳で。


「あーもう!!! 俺の帝人くん返して!」
臨也がとうとう痺れを切らして正臣に詰め寄った。帝人に触れていないせいか相当のストレスが溜まっているらしい。そういえば「食事」をしたのは何時だったか。帝人の事件があってゴタゴタしていたが、そろそろ食事をしないとエネルギーが切れる。静雄はぎゃいぎゃい言い合う臨也と正臣を見ながら、煙草を吹かした。腹が空きすぎているせいなのか、長い間帝人に触れて無いせいで悟りを開いてしまったか、やけに落ち着いている。
「イーヤーでーすー! ちょっ、室内でナイフは反則っ!!!」
臨也の振るったナイフを避け、正臣は臨也の手首を掴んだ。臨也と正臣はぎりぎりと組み合っている。
「そんな物騒なもんしまって下さいよ帝人がビビってんじゃないスか」
「五月蝿いね君がちゃんと年長者を立てて帝人くんを譲ってくれるならしまってあげるよ」
そんなことを言いながら、そろそろ殴りあいそうになっている二人の様子を見つつ、そろそろ止めた方が良いかな、と静雄は煙草を灰皿に押し付けた。帝人が可哀想なぐらいオロオロとしてどちらの味方についていいか分からなくなっている。何時もならここで帝人が一喝して終わりなのだが、今回はそうも行かない。
「おいお前ら……」
静雄が立ち上がったところで、リビングのドアが開いた。
「……何やってるの……」
「か、かすか、さん……」
帝人は泣きそうな顔でよろよろと幽に近づき、抱きついた。幽はそれを受け止める。幽が帰って来た事に、喧嘩をしている二人は気づかない。今までの鬱憤を晴らすかのような罵詈雑言の嵐だ。
「帝人、怪我してる所悪いんだけど……『食事』しても良い?」
幽が帝人にそっと尋ねると、帝人は少しだけ正臣と臨也を振り返り、それから頷いた。
帝人はちゃんと自分が人形遣いで、この4人は人形だという事は覚えていたから、自分の役目もちゃんと分かっていたが、記憶の混乱があってからは正臣以外に身体を触れさせることは無かった。
帝人が自分達を怖がっていると分かっていたから、幽は帝人に目線を合わせ、心配そうに尋ねた。
「……大丈夫?」
すると、帝人は笑顔で頷いた。久しぶりに正臣以外に見せる笑顔。
「幽さんは、大丈夫です。怖く、無いです」
「そっか……良かった」
幽はそっと帝人の頭を撫でた。それを見ていた静雄は二人の傍に寄る。
「帝人、俺も腹減って……んだけど……」
遠慮がちにそう言うと、帝人は幽の方を見る。何かを伺うように、そして尋ねるようにじっと見つめた。
「……兄さんは、大丈夫。怖くないよ。……俺も居るし」
幽にそう言われて、帝人は頷いた。
しかし言ってみたものの、病み上がりで二人の相手はキツイだろう、と静雄は考えたが、自分が動けなくなるのも困る。
「兄さん、帝人は病み上がりなんだから、手加減してよ」
「……おう」
幽に釘を刺されたが、久しぶりに帝人に触れる。多分手加減は出来ない。それは幽も同じだろう。
「あれ、どうする?」
幽が呆れたようにリビングの中央を見つめ、静雄に尋ねた。静雄は眉を顰めて吐き捨てる。
「放っときゃいいだろ」




「だーかーらー! って、アレ? 帝人?」
「ちょっと……シズちゃんも居ないんだけど。あとなんで幽くんの鞄があんなとこにあるの」
正臣と臨也が、帝人と静雄の二人が居ないのに気がついたのは、幽と静雄が帝人と一緒に部屋に行ってから1時間もした後の事だった。
「君のせいだからね!」
「そっちが喧嘩売って来たのが悪いんでしょ!?」
売り言葉に買い言葉で、第二ラウンドが始まった。




その後、帝人の傷は順調に回復し、記憶の混乱もそれと共に無くなり、何時も通りの生活に戻った。
ただやっぱり、件の事件の事は思い出さないままであったけれど。






漁夫の利おいしいです(笑 久しぶりの平和島サンドおいしいです^q^
4人の中では幽さんが一番無害なんじゃないかいな、と思うんですけど。
正臣が一番付き合い長くて一番信頼できるんですが、それ以外となると幽さんかなあ……というイメージが(笑
静雄は9話での前科があるのでwあと臨也さんも書いてはおりませんが、帝人とひと悶着あった設定なんで、やっぱり前科が……w
大人って汚いよね!!(←

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