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書きたいものリストに入れていた、静雄と二人っきりネタ。
病んだ静雄が定期的に書きたくなります。病んだ静雄も好きです。












はて、と帝人は首を傾げた。自分は学校から帰る途中であったはずだ。
何時も通りの道を通り、何時もの見慣れたボロアパートに帰ってパソコンを立ち上げ、ネットサーフィンをしながら食事を摂り、チャットをしながら時間を潰して12時前には寝る。
そう、何時も通りならば、だ。
今居るのは見慣れた部屋ではあったが、自分のボロアパートではない、小奇麗なマンションの部屋で、自分のパソコンは無くて、その代わりに大きなベッドがあって、その上に自分が居て、制服はこの部屋に来た時に何時もしているように壁のフックにきちんとかけられていて、その下の壁に自分の薄っぺらい通学用の鞄が立てかけられている。若干肌寒いのは、着ている服がぶかぶかで、隙間があるからだろうか。袖が余りに余って長いので、とりあえず腕まで捲り上げた。
着ているのは白いシャツのみ。それ以外は無い。近くにも見当たらない。
ベッドから降りてカーテンを軽く開き外を見る。窓の外はすでに夕暮れを過ぎて夜の装いだ。遠くに街の明かりが見える。ああ、いつもここに来た時と同じ風景。帝人はそう思った。


そう、ここは帝人の部屋ではない。しかし、知らない場所でも無い。
ここは『平和島静雄』のマンションの部屋だった。そして平和島静雄は帝人にとってどうでもいいような他人ではない、とても近しい関係、しいて言えば『恋人』の関係。


しばらく前から良く話す様になり、そのまま、お互いに好き同士であることが解り、二人して少女漫画のような甘ったるい告白をして、今に至る。
しかし何が変わったわけではなかった。何時ものように街で出会えば話かけ、メールや電話で会話をし、変わったことと言えばお互いの家を行き来して、部屋に泊まる回数が増え、キスをする様になったことぐらいか。そして二人は、そんな普通の付き合いを続けていた。




帝人はまた、首を傾げた。何故自分がここの居るのか思い出せなかったからだ。校門を出て、何時も通りの通学路を辿った、そこまではいい、それからどうしたか。


思い出した。
雨が降ってきたので、近くのマンションのホールに飛び込んだ。雨宿りだけのつもりで、少ししたら立ち去るつもりだった。そうしたら雨足がだんだん酷くなってきた。参ったな、と思ったところに携帯に着信が入った。


「そうだ、携帯」
帝人はぽん、と手を叩くと、制服のポケットに手を突っ込んだ。無い。制服のズボンのポケットにも無く、鞄の中をひっくり返しても出てこなかった。
さらに帝人は記憶を辿る。


そう、着信は静雄からだった。今何処にいる、と聞かれて、学校の近くのマンションの下で雨宿りしていると告げた。近くに居るから迎えに行く、そう言われて解りました、待っています、と答えた。
程なくして静雄が傘を差して現れた。静雄さん。帝人はそう言って静雄に駆け寄り、抱きつく。静雄はそれを抱きとめて、優しく髪を撫でてくれた。


そういえば静雄は何処へ行ったのだろうか。あのまま一緒に帰ったのでは無かったのか。


何を話していたのか、思い出す。そうだ、明日は休みだから、静雄の家に行きたいと言った。そうすると、いつも二つ返事で了承を寄越す静雄が、口篭ったのだ。都合が悪いかと尋ねると、そうではない、と言う。理由が知りたくて、少々しつこく尋ねると、静雄は立ち止まり、口を開いた。
「俺が何を言っても、許せるか?」
「何の話ですか?」
「俺が何をしても、許してくれるか」
言っている意味が解らなかったが、静雄がする事であれば、自分は許す、そう言った様に思う。すると静雄は、ほっとしたように息を吐き、静雄は口を開いたのだ。


「もう俺は、我慢出来ない」




そこまで思い出して、ドアが開く音に思考が止まった。振り向くと静雄が入って来ていた。ゆっくりと近づいてくる。窓を背に、帝人は立つ。その前に、数歩の距離を置いて静雄が立った。
「静雄さん」
「帝人」
サングラス越しではない、素の瞳が帝人をじっと見据えた。黄色がかった茶色い瞳。帝人はこの瞳が好きだった。
「詳しい事を、聞かせて下さい。静雄さんが我慢出来ないと言ったその真意を」
「……解った」
静雄は息を吸って、吐いた。長く、長く息を吐き出す。
「今まで、ずっと考えて居たんだ。俺は、お前が思ってる以上にお前のことが好きだって」
「静雄さんが僕を好きで居て下さっている事は、知ってます」
「違う。それ以上って言ったろ。俺は、お前が好き過ぎるんだよ」
だから、と静雄は続けた。
「お前を俺の傍にずっと置いておきたい。何処にも、やりたくない」
「……何処にも行ったりしません。静雄さんの、傍に居ます」
静雄は緩く首を横に振った。
「俺の目が届かない所で、如何なるかなんて解らない。事故に合うかもしれない、誘拐されるかもしれない、殺されるかもしれない」
盗られるかもしれない。と其処まで言って、静雄は顔を顰めた。
「お前があのノミ蟲と話してるのを見るだけで、ムカムカする」
そう言えば最近良く臨也と話す様になった。向こうが勝手に寄って来るのではあるが、色々世話になって居る身ではあるし、こう言うのも何ではあるが一応大人なので敬意を表さなければならなくて邪険には出来ない。だから何時も少しだけ話に付き合ったり、お茶に誘われて付き合ったりはする。
「臨也さんとは、何でもありません」
「……信じてない訳じゃない。でも、俺は心配で心配で死にそうなんだ。俺の目の届かない所にお前をやりたくない。もうお前が居ない世界なんて想像出来ないのに、お前が居なくなったら俺は」
「居なくなったりしません」
帝人は冷静に、静雄に語り続けた。
「僕は静雄さんが好きだと、ずっと言っていますよね? 静雄さんの事は何よりも優先すべきもので、僕の中でも一番は静雄さんだ。何時も静雄さんの事を考えている」
「……だから、その言葉を信じたいんだ。信じさせてくれ、帝人」
静雄は、帝人に近寄ると、その身体を抱きしめた。帝人の肩に、静雄は顔を埋めた。帝人はその背にゆっくりと手を回す。静雄が震えている。あの池袋最強が、自分如きの為に身体を震わせながら懇願している。帝人は心の奥底にふつふつと、薄暗い感情が湧いて来ているのを感じていた。悦びと、哀しみとが綯い交ぜになった、感じた事の無い感情が。


「……解りました。静雄さんのお好きな様に。お気の済むまで。僕は、既に貴方の物だ」


心も、身体も全て。僕は、貴方の物です。そう静雄に囁いた。その言葉は、毒の様に静雄の耳から静雄の身体へ這入る。じわじわ、じわじわと染みていく。
静雄はゆっくりと顔を上げて、帝人に口付けた。何時もの様な甘ったるいキスではない。大人の、熱の篭った激しいキスを。帝人は、目を閉じてそれを受けた。不思議と、心は落ち着いていた。


その夜、帝人は初めて静雄に抱かれた。激しい波に翻弄されて、何をしていたか思い出せなかった。一度気を失い、目が覚めてからまた抱かれた。その繰り返し。酷く痛む身体が、行為の激しさを物語っていた。




眠る静雄の隣で帝人は目を覚まし、起き上がった。身体が痛いので動きが緩慢になる。
静雄の寝顔を見ながら、帝人は呟く。
「静雄さん、僕は貴方の事が、貴方が思う以上に好きなんです」


愛してるんです。
だから、怖いんです。貴方が居なくなる事が。


「僕だって、貴方を独り占め、したいのに」


どうしたら貴方を檻に入れる事が、出来るの。




すれ違いの二人の戦いが、始まる。







というわけで書きたいものリストに入っていた「静雄と二人っきり」です。
病んだ静雄が定期的に書きたくなる罠。今回は、病んで弱った静雄を、自分のものにしたい帝人のお話でした。
軟禁辺りまで持っていこうかと思ったんですが、収まりがいいのでここまで……続き思いついたら、続くかもしれません。


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