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これは書いときたい。という話のひとつです。
幽さんとの出会い話。


設定はこちらを参照ください。【人形遣い設定








コード【Kk】、平和島幽は、【Sz】平和島静雄とのペア機である。
静雄とのペアを組む予定であった【Iz】折原臨也は、実験時点で相性の悪さが露呈し、その実験自体が頓挫した。その直後折原臨也は研究所から逃亡。
そこで静雄と同型である幽を使ってペアでの活動実験が行われた。
幽は元々性格や感情のプログラムをある程度制御されていたから、静雄との活動実験もうまくいった。また、静雄の素体を基にして、幽の素体が作られたため、姿も良く似ていた。だから皆は二人を兄弟機として扱った。
ただ、幽は感情プログラムに欠陥が見つかったため、静雄と共に「外」へ出されることは無かった。その欠陥はプログラムを作った新羅にも原因不明で、修正プログラムも通用しなかった。
主候補との適合実験も行われたが、意思の疎通が難しく、実験は失敗に終わるばかりだった。


(つまらない)


幽は常に「つまらない」とそう思っていた。主に縛られる事が嫌だったわけではなかったから、早く外に出て兄と同じように暮らしたい、ただそれだけを願っていた。
主候補は毎日の様に連れてこられたが、幽の琴線に触れるような人物ではなかった。
(違う、何かが)
自分に何かが欠落しているのは分かっていた。兄である静雄も、そんな自分を心配していた。
「早くお前に足りないものを埋めてくれる奴が現れたらいいのに」
静雄は自分に会いに来てはそうやって、幽の手を握りながら呟いていた。
そんな人物が現れるだろうか。幽はぼんやりと研究所で一人、考えていた。




ある日、研究所の自室に兄の静雄がやってきて「紹介したい奴がいる」と言った。
「俺の今の『主』だ」
「へえ、どんな人?」
「……この間の池袋の事件と、切り裂き魔事件、知ってるか?」
静雄は声のトーンを落として言った。それなら知っている。池袋中を巻き込んだ二つの事件、その中心で事件を収めたのはとある少年だったと誰かから聞いた。
「竜ヶ峰帝人。【皇帝】が、今の俺の主だ」
幽は軽く眉を上げた。【皇帝】といえば件の事件の中心人物ではないか。実は幽も少しだけ【皇帝】には興味を持っていた。ただ、S級クラスの人形遣いの情報などは、末端の人形遣いにも人形にも入ってこない。幽はダラーズ所属の人形とは言え、未だ研究中の人形の身であるし、そう易々とS級クラスの情報を扱える程の力も無い。
だから、静雄がそんな人物と契約しているのを知って、少々驚いた。
「まあ話せば長くなるんだけどよ……」
静雄はバツが悪そうに頭を掻いた。そんな静雄に、幽は微笑む。付き合いの長い静雄ぐらいしかわからない、微かな微笑み。
「帝人は俺にとって大事な奴なんだ。だから、お前にも知っておいて欲しいと思って連れて来た」
「うん」
幽は頷く。静雄は一度立ち上がって、部屋のドアを開いた。ドアの向こうに居た人物になにやら声をかけている。
静雄に連れられて、少年が一人入ってきて幽の前に立った。青い制服に黒い髪、黒い大きな瞳。おどおどとしたその少年は、ぺこりと頭を下げた。
「竜ヶ峰、帝人です」
「……平和島、幽です」
幽もつられてぺこりと頭を下げる。帝人は緊張しているのか、静雄にぴたりとくっつくようにして立っている。
「帝人、何緊張してんだ」
「だ、だって静雄さんの弟さんなんでしょう?」
そりゃ緊張もしますよ、と帝人は恥ずかしそうにうつむいた。静雄はその頭をぽんぽんと叩く。
「別に取って食いやしねえよ。なあ、幽」
「うん……」
幽は頷く。その顔は無表情だ。しかし内心では驚いていた。【皇帝】がこんな普通の高校生で、なんだかイメージと違っていたからだ。
(聞くと見るとは大違いだ)
事件の様子を聞いてイメージしていた【皇帝】竜ヶ峰帝人と、今目の前に居る竜ヶ峰帝人。二人がイコールで結びつかない。
そこに惹かれた。面白いじゃないか、と思った。幽は口の端を軽く吊り上げて、笑う。
「面白いね」
「え?」
「竜ヶ峰、帝人くん」
「は、はい」
帝人はびくっとなって、おずおずと幽を見つめた。幽は帝人に微笑みを返す。
「……俺の話し相手に、なってよ」
「……は?」




それから帝人はダラーズの許可を得て研究所に通った。幽と二人で話しをする。ただそれだけだった。
学校帰りに帝人は研究所へ向かい、幽と2、3時間話をする。幽はその時間がとても楽しくて、楽しみで、今までしてきた実験や研究よりも楽しい、と思っていた。何時しか「つまらない」と思う事は少なくなり、帝人と会話する時間が楽しみで面白いと感じるようになっていった。


その感情が、だんだんと欲を持ってきた。
ずっと帝人の傍に居たいと思うようになった。


帝人と話していたい。帝人に触れて居たい。帝人の全てを感じ取りたい。


――そうだ、帝人と契約すればいい。




「帝人くんは、兄さん以外と契約している?」
「はい。あと、二人居ます。僕の幼馴染だった紀田正臣と、あと折原臨也さん」
皆僕にはもったいないぐらいで、と帝人は苦笑した。『折原臨也』、その名前を聞いた瞬間、僅かに幽が眉を顰めた。だが帝人はそれに気付かない。
幽はそれを見て微かに笑う。
「じゃあ、もう一人増えてもいいよね?」
「……えっ?」
幽は帝人の身体を抱き寄せた。そして灰色の人口水晶をすうと細める。
「俺も、帝人くんと契約したい。俺は兄さんと同型だから、俺だって君と適合する筈」
駄目? と幽は首を傾けた。帝人は突然の幽の申し出に慌てるばかりだ。
「俺と契約するのは、嫌? 兄さんや折原臨也とは契約しているのに?」
「ち、違います」
帝人はそこで口を噤んだ。そして、ゆっくりと逡巡してから、口を開く。
「幽さんは、何故僕と契約したいんですか?」
「うん……」
幽は頷いて、微笑む。
「帝人くんと、ずっと一緒に居たいと思った、だから、俺は君と契約すれば、ここから出られる。君と一緒に居られる。そうしたい、それが、俺の望み」
「……何故、僕なんですか?」
帝人は困ったように眉を寄せた。正直、こんなことを言われるとは思っていなかったし、唯一幽を止めてくれそうな静雄も今日は一緒に居ない。
「……なんだろう、何で、かな……」
幽も首を傾げた。幽は、目の前の帝人をじっと見つめた。
「わからない、けど、俺は君が良いと、そう思ったんだ。俺と契約するのは、君しか居ないって。俺に足りないのは、君だったんだ」
そう言って、幽はふわりと笑った。帝人は目を瞠る。初めて見た、幽の笑顔。


惹かれた――


「だから俺は、君に会うためにこうやって、生まれて来たのかもね」
「な……っ、そんな、事、無いです」
帝人は慌てて首を振った。幽の笑顔に見惚れてしまった自分を取り戻すように。
「幽さんなら、僕以外にも良い主になってくれる人が居ます!」
「……帝人」
幽の声が、帝人の耳元で聞こえた。名前を呼ばれて、ぴくりと身体が震えた。その声は、静雄の声と似ていた。
「俺と、契約して」
有無を言わさないようなしっかりとした声色。こんな幽は初めて見る。帝人はごくりと唾を飲み込んだ。ひやりとした声に、抗う事が出来ない。
「……本当に、良いんですか?」
「良いよ。俺の全ては、帝人のもの」
二人は見つめあった。そして幽は、帝人の額に自分の額を当てる。
「俺と契約を」
「わかり、ました」
帝人は目を閉じると、ふう、と息を一息ついた。そして、ゆっくりと口を開く。契約を交わすための言葉を、紡ぐ。


『コード【Kk】平和島幽と、契約を結びます』


蒼く光る瞳。ああ、綺麗だ、と幽は思った。幽がゆっくりと帝人の頬に手を伸ばし、その頬を両手で包み込む。唇を寄せて、帝人の口に自分の口を重ねる。舌を絡ませ、唾液を送り合い、互いの情報を交わす。
ずっとこの味を味わっていたい。幽は頭の片隅でそう思った、が、帝人の潤んだ瞳に気づいて、少しだけ口を離す。
「は、っ……」
「苦しかった? ご免ね」
「いえ、大丈夫、です……」
軽く上がった息を整え、帝人は微笑んだ。
「これで、僕達は契約できました」
「うん、嬉しい、帝人……!」
ぎゅう、と幽は帝人に抱きついた。そして、その身体を確かめるように、そっと撫でる。
「俺の我侭聞いてくれて、有難う」
「いいえ。そうだ、これで、静雄さんとも一緒に居れますね」
兄弟水入らずですよ、と帝人は笑った。だが幽は、もうすでに何時もの無表情に戻っている。


「……兄さんは関係無いけど、まあ良いか」


帝人が笑顔になってるから、良いか。幽はそう心の中で呟いて、帝人の額に口付けを落とした。






というわけで幽さんと契約した時のお話でした。
幽さんが帝人に一目ぼれして契約したい!!!ってぐいぐい押した結果、です(笑
意外と我の強い人なんじゃないかな、と思ったのでこんな子になりました。しかし難しいな、幽……。
ちなみにこの後帝人と一緒に住むようになってからスカウトされてアイドルになりましたという設定です。
天然のタラシなので← 恥ずかしいセリフもさらりと言えます。恥ずかしいセリフ禁止!!笑


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