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「ハンターって、誰でもなれるの?」
魂の井戸で休憩中、八千穂が九龍に尋ねた。
九龍は銃に弾を込めていた手を止めて、うーん、と一声唸った。
「誰でも、ってわけではないなぁ」
「じゃぁやっぱり、テストとかあるの?」
「あるある。適正審査みたいなのはやったなぁ。体力テストとかも」
「でもお前、確か小学校卒業してすぐ研修所とやらに行ったって言ってなかったか?」
皆守が加えて尋ねると、九龍は頷いた。
「こーたろが俺の話覚えててくれたなんて嬉しいわぁ」
「そんなことはどうでもいいから、答えろよ。ほら、八千穂だって知りたがってるぞ」
八千穂の方を向くと、興味津々というような目を九龍に向けていた。九龍は苦笑しながら答える。
「じゃぁまぁ……俺の場合は、こうでした」
と九龍は滔々と話し出した。
九龍が生まれたのはエジプトだった。母親はもうその時は一端のハンターで、大きな仕事も持っていたし、父親もそのバディとして、また外国の大学で教鞭もとっていたから外国暮らしをしていた。九龍は生まれてすぐに京都の祖母の家に預けられ、そこで小学校卒業までを過ごした。
子連れで宝探しはできないし、九龍には日本で日本人として過ごして欲しい、という母親の思いからだった。
それに、両親とも九龍に仕事を継いでは欲しくなかったのである。日本でのびのびと生きて、好きな仕事について幸せになってくれたら。そう思っていたのであるが。
小学校を卒業してすぐ、九龍は両親の元へ向かった。ハンターになるためである。
「なんでハンターになりたかったの?」
「まぁまぁやっち、その話はこれからや」
九龍はたまに帰国する両親の話を聞いているうちに自分もハンターになりたいと思ってしまったのだ。
未知なる遺跡への思い、宝を手にした時の嬉しさ。自分で体験してみたくなったのだ。
もし本当にハンターになりたいのなら、小学校を卒業したらおいでと、母親は冗談交じりに言っていた。それを九龍は覚えていて、実行したのだ。
九龍も冒険好きな「男の子」であったのだ。
「なんだよ、今と変わんねーじゃねーか」
「嫌やわぁこーたろ、男の子ってもんは熱い冒険譚が好きなんですよ?」
一人エジプトへ旅立った九龍は、両親と連絡を取った。日本へは戻らない、俺はハンターになると両親に宣言した。
仕方なく両親はハンターの適正試験を受けさせてみることにした。協会が入会の時に課す、入会テストである。大人でも中々受からないテストを、九龍は突破した。もともと運動神経は良かったし、暗記ものは得意であったからペーパーテストもなんとかクリアできた。
「九チャンってすごかったんだね!」
「まぁ、それほどでもあるけどなー」
「子どもだからちょっとは簡単にしてあったんじゃねえの?」
「うわ、こーたろそういう事言うか。正真正銘、大人に混ざってやったんやから!」
テストに合格した九龍は、晴れてロゼッタ協会に所属するハンターとなったのである。
最初の3年は寮に入り、新米ハンターに混じって基礎学力と体力の向上などに時間を費やした。まだ子どもではあったが、厳しい訓練にも耐え、研修期間に入った。
「研修って何をするの?」
「ハンターのバディになって、まぁ手伝いみたいなことすんの」
2年は両親について世界各地を回った。九龍は新米ハンターの中でも特に優秀な方であった。
「いろんなもん見たなー。宝を見つけたときは一番嬉しかった」
「そうだろうねー。今でも九チャン、宝物みつけたらとっても嬉しそうな顔してるもん」
「クセになるねあの時の気持ち。ま、そんなこんで俺はちゃんとしたハンターになって、初めての仕事にいったわけや」
「それは何時だ?」
「ここの来る前の仕事やから、つい最近」
「は? それってまだ新米って言うんじゃ」
「まぁまぁ細かいことはええやないの」
「で、その仕事ってどんな仕事だったの?」
八千穂が尋ねると、九龍はにっこりと笑って言った。
「誰もクリアしたことない遺跡の中でもっすごいでかい化人においかけまわらされて地上に出たと思ったら殺されかけた」
八千穂と皆守の顔が青ざめた。そして二人ともこう思った。
「よく生きていたな」
と。
当の本人はあっけらかんとしている。
「さ、そろそろ行こか」
「あ、待ってよ九チャン!」
九龍と八千穂が扉をくぐる。その後姿を見ながら皆守は呟いた。
「まぁ、お手並み拝見と行こうじゃないか。転校生」
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